2018/07/01   
Category: 旅行

キプロスの旅



キプロスと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
地中海に浮かぶギリシャに近い島国で、数年前に金融危機が起こり銀行から現金が引き出せなくなったというのをニュースで見たということぐらいでした。
日本人であまり行く人も少ないかと思いますが、実際に行って、見てどうだったかを書きたいと思います。

キプロスのリマソル

キプロス島は2つに分断されている

まず一番知っておかなくてはいけないことが歴史で、実はキプロスは島ですが領土が2つに分かれているということです。
ここはヨーロッパ、アジア、アフリカの間に位置するため、3000年以上前から航海の要所でした。
そのため様々な民族によって支配されてきましたが、主にギリシャ系住民とトルコ系住民が住んでいて何度も衝突が起きています。
近年では1822年のオスマントルコ支配時にギリシャ系住民の反乱を抑えるために2万5000人を殺害した経緯があります。
そしてキプロスは1960年にイギリスから独立をしました。
その後、多数派のギリシャ系住民がトルコ系住民の権利と縮小を断行しました。
それに反発をしたトルコ系住民とギリシャ系住民との間で内戦が勃発しました。
そして1974年にトルコ軍が軍事介入し、北側を支配してしまいました。
その結果、1983年に北キプロストルコ共和国(北キプロス)として独立を宣言しますが、トルコ以外の国はこれを承認していません。
南側はEUにも加盟しているキプロス共和国(キプロス)で貨幣はユーロそしてギリシャ語を話します。
北側はトルコ語を話す人達が住んでおり、貨幣はトルコリラですが一部の店ではユーロも使えました。
その国境付近はグリーンラインと呼ばれ国連が管理をしていて、人も住むことができなくなっています。
そしてそれぞれの国境側はそれぞれの軍が管理をしています。
首都であるニコシアにはグリーンラインが走っており都市も分断されています。

過去にはこのグリーンラインに侵入した人達が射殺をされています。
今回の旅ではこのニコシアの南側と北側の両方に行きました。

ちなみに車は日本と同じ右ハンドルで電気のコンセントはイギリスタイプのプラグです。

キプロス共和国内の交通

自分は以下の旅程で行きました。
ラルナカ空港 -> ニコシア -> リマソル -> ラルナカ市内 -> ラルナカ空港

ニコシアからはリマソル、ラルナカ市内、パフォス、アヤナパへインターシティーのバスが運行しています。
1〜2時間に1本くらいしか運行していないのですが、電車がないためこの方法以外だとタクシーになってしまいます。
4〜7ユーロです。
ニコシアからラルナカへのバスの時刻表
キプロス共和国のバスのルートとタイムテーブルはこちらから。

ラルナカ空港からニコシア市街地へ移動時の注意

キプロスには国際空港が3つあり、2つはキプロス共和国側で1つは北キプロス側にあります。
一番大きなラルナカ空港を利用しました。
それでもあまり大きくはありませんが新しく綺麗でした。
ラルナカ空港

そこからニコシアへの移動が大変でした。
空港の到着ロビーを出てバスを探していると、出口付近のカウンターの人に聞いてと言われニコシア行きのチケットを8ユーロで購入しましたが、1時間待ちでした。
バスに乗って終点まで行くとその周りには何もないところでした。
どこ?という感じで、まさかここが終点なの?

調べなかったのが悪いのですが、そこからはタクシーしか方法がないとのことでした。
しめしめと寄って来た運転手が10ユーロくらいと言うのでしょうがなくタクシーを利用しました。

運転手が小ぶりのバックパックをトランクに入れ、メーターをスタートさせました。
なんか嫌な予感がしたので、タクシー内を見ているとコストに関する情報を見つけました。
Luggageは1.2ユーロの追加料金と書かれていました。
あとで絶対に請求されそうだなと思っていたのでメーターに注目していました。
到着するとメーターは7.8ユーロで止まりましたが、運転手は9ユーロと言ってきました。
「なんで?」と聞くと、「料金ここに書いてあるでしょ、スーツケース入れたでしょ」って。
「これはスーツケースではないし、トランクに入れる必要がないくらいのサイズのバッグでしょ」と対抗すると、「そんなに1ユーロが大事なのか」とってかなり嫌な言い方をされたので、8ユーロ渡して去りました。
あなたがせこくだまし取ろうとしたんでしょうと思ったのですが、そこまでは言いませんでした。
この日の朝、テルアビブでチップの詐欺にあっていたのでここでもかって、着いて早々嫌なところに来てしまったなと思ってしまいました。

タクシーを使いたくない人はラルナカの市内までバスで行って、そこから別のインターシティーのバスに乗り換えるとニコシアの中心地まで行けます。
全部で6ユーロくらいで行けますが、ニコシアへのバスが1〜2時間に1本しかないので注意が必要です。

南北に分断された首都ニコシア

街中のグリーンライン沿いを歩いて見て回りました。
確かになんか異様な感じがあります。
ほぼ全てのところで撮影禁止と書かれていましたが、撮影をしてみて特に問題は起きませんでした。

ニコシアの街
ニコシアの街
ニコシアの街
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア

ところどころに軍人がいて警備をしていました。
何人かの軍人と話をしてみました。
この先はグリーンラインで200mほど誰も住んでおらず国連が管理しているとのことです。
もし誰かがこのボーダーを超えて行ったらあなたはどうするかと尋ねてみました。
すると青年は「撃たなくてはいけないが、自分はやるつもりはない」と言っていました。

キプロスの男子は14ヶ月間の徴兵制があり、今年から女子も任意で参加ができるようになったとのことです。
ギリシャで3ヶ月間の訓練を受けてこのように派遣されるとのことです。
しかし、内容自体は退屈なものが多くドラッグを始める人達もいるようで問題にもなっているようです。
確かに3ヶ月だけ訓練を受けて、いきなり人を射殺できるかと言われたら精神的にできないろうなと考えてしまいました。

ここで写真を撮っていいかと尋ねると、自分は写真に入ってはいけないが早く撮っちゃってと言ってくれました。

別の場所では3人ほどの軍人が退屈そうに携帯をずっといじっていたので話を聞いてみました。
ここの状況を聞こうかと思ったのですが、先日自分がパレスチナのヘブロンで見たボーダーの状況を説明し、こちらは平和に見えるという話をしました。
すると数日前にある女性がこの人に話しかけ、ここで写真を撮ってもいいかと尋ねて来たと。
その女性もここに来る前にヘブロンに行って来たとのことでした。
そしてその女性は目の前で撃たれた人を見たということ。
自分がヘブロンに行った時には、多分たまたまこういう嫌がらせの光景に出くわしただけだろうと思っていたのですが、実際にはもっとすごいことが日常的に起こっっているのではと思い始めました。

どうやら2004年くらいまではボーダーを自由に行き来することができなかったようです。
お互いの人々の反応は前に比べてよくはなって来ているみたいですが、政治的にはまだまだ問題があると地元の人達が言っていました。

地図ではところどころこのように表示されていて、軍もしくは国連が管理しているようで中に入れないような感じでした。

ニコシア(北キプロス側)

北キプロスに入ると全てがギリシャ語からトルコ語に変わります。
そして通貨もトルコリラになります。
数時間の滞在だから両替はしたくないなと考えていたのですが、観光客が多いところではユーロを使用することができました。

すでに夜になっていたのですが、旧市街地の唯一のチェックポイントを超えてみました。
パスポートを差し出すと、スキャンはされましたがスタンプも何も押されずにすんなりと通過することができました。
昼間の方が注意深く見られたような気がします。
担当者によって違うだけかもしれませんが。

このパスポートチェックはキプロス共和国側と北キプロス側でそれぞれ行います。
この間の100mくらいはグリーンラインで誰も住めないようです。
そして撮影禁止でした。

これは昼間に撮影
キプロスのニコシア

こちらは北キプロス側のチェックポイント。
ニコシアのチェックポイント

すると大音量の音楽が聞こえてきました。
チェックポイントのすぐ隣という感じで、音をたどろうとすると気付かずに立ち入り禁止エリアに入ろうとしていたため、注意をされてしまいました。
何だろうと思ったのですが、先に街中を歩くことにしました。

キプロスのニコシア
キプロスのニコシア

チェックポイントのあたりにはカフェバーなどはありましたが、その先はかなり静まり返っていました。
暗くてあまり街の様子がわかりませんでしたが、問題がなさそうだったので30分ほど適当に歩いてみました。
モスクなどの外観を見学し、ほとんど人が歩いていなかったので、またチェックポイント近くに戻りました。

どうやら飲んだり遊びに北側へ行く人が結構いるようです。
物価が安いからかなと思います。

最終的にその大音量を確かめに行くと、クローズと書かれていました。
覗き込むと「入りたい?」と聞かれ「はい」と答えると入れてくれました。
DJがいい感じの音楽をかけていて、そこにいる人たちも皆いい人そうに感じられました。
しばらく様子を見ながらビールを飲んでいました。
一人の男性と話を始めたのですが、どうやらこのバーのオーナーだったらしく、ビーリを奢ってくれました。
この人はオランダ人でトルコ出身の彼女などとここに移り住んでこのバーを始めたと言っていました。
その後、彼らの友人達とも話をしたのですが本当に素晴らしい人達でした。
もっと飲み物を勧められたのですが、30分くらい歩いて宿まで戻らないといけなかったので残念ながら2時くらいにさよならをしました。
とても暖かい人達に会えてとてもハッピーな気持ちになりました。
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア

翌日も北キプロスを歩いて見ました。
ニコシアの旧市街地には道にブルーラインが引かれていてそれをたどると観光スポットを見れるようになっています。
ニコシアの街

街中はあまりきれいとは言えませんでしたが、興味深く歩くことができました。
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア

そして街中を歩いていると突然雨が降って来ました。
近くにあるボーダーがどうなっているのかと思って探していたのですが、見つからずに地図を見ていました。

ニコシアの街

するとその通りに住んでいる男性が声をかけて来ました。
こちらに入って雨宿りをしたらと。
雨も止みそうになかったので、喜んで中に入らさせてもらいました。
そしたらご婦人がターキッシュコーヒーでもどう?と勧められました。
自分はコーヒーを飲まないので、紅茶ありますかと聞くと用意をし始めてくれました。
そしたらご飯は?とさらに勧めてくれました。
これも喜んで頂戴することにしました。

なんて優しい人達なのだろうかと。
観光地でもないところで、見ず知らずの人にこんなにしてくれるのかと。
そしてとても美味しかったです。

どうやらその夫妻は自分が日本人に違いないと思っていたそうで、声をかけてくれたようです。
この男性はニコンと提携をしているプロのフォトグラファーでした。
結婚用の写真やキプロスの自治体のプロジョクトをサポートしているとのことでした。
今やっているプロオジェクトは写真を使っての空港での生体認証と言っていました。
自分もフォトグラファーなのでカメラやテクニックについて色々と話をしました。
そしたらカメラバッグあげるからと持って来てくれました。
機内の持ち込み制限もあったので、さすがにこれは遠慮しました。

結婚してイギリスへと移住した娘さんの部屋を見せてくれて、ここに泊まって行きなさいとまで言ってくれました。
結局数時間過ごしてしましましたが、とてもともて楽しい時間でした。
そして帰り際にお菓子も持たせてくれました。
こんなに親切にされてしまうともう言葉がありません。
絶対にまた戻って来たいと思いました。

北キプロス大好きです。

ニコシア(キプロス共和国側)

インターシティーのバスも発着するソロモウ広場では多くの移民を見かけました。
一般的にヨーロッパで見かけるアフリカや中東の移民とは別にベトナムなどのアジア系も見かけました。

キプロスのニコシア
ニコシアのバスターミナル
キプロスのニコシア

ソロモウ広場からチェックポイントにかけて南北に向かって通りがあり、ここがメインストリートになります。
ショップやレストランやカフェなどが立ち並び、人々で賑わっていました。
イスラエルに比べると明らかに物価が安くホッとしました。
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア

昔、市場だった建物が残っていて興味深く見ていました。
その手前でスケボーをしていた若者たちに教えてもらい、今は時々イベントがキラ枯れているとのことです。
次にラルナカへ行くと言うと、リマソルへ行った方が良いと勧められました。
何故かと聞くと、こことは違っていいからと言うことでした。

インフォメーションセンターの入り口が分かり難かったです。
キプロスのニコシア

街並み
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシアキプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
キプロスのニコシア
近くでLGBTのイベントをやっていたので行って来ました。
4年前に始まったもので、その当初は保守的な人達が多いということでニュースでもすごく取り上げられたと言っていました。
会場は若い人たちで埋め尽くされていてとても良い雰囲気でした。
LGBTの理解が深まり偏見なく認知され、権利が確立されて行くことを願っています。
ヨーローッパでは日本よりもその点では少し進んでいるのかなと思います。

ニコシアのLGBTイベント
ニコシアのLGBTイベント
ニコシアのLGBTイベント
ニコシアのLGBTイベント
ニコシアのLGBTイベントニコシアのLGBTイベントニコシアのLGBTイベント

リマソル

まずはインフォメーションオフィスに行き地図をもらいました。
どこかに荷物を預けるロッカーなどはあるか聞くとないとのことでした。
2時間くらいなのですがと言うと同僚が今日休みだからその席に置いて行っていいよと言ってくれました。

リマソルにはニコシアとラルナカと比べるとかなりたくさんの路面店があり、ショッピングをするには一番良いかと思います。

キプロスのニコシア
キプロスのリマソル
キプロスのリマソル
キプロスのリマソル
キプロスのリマソル
リマソルの街
リマソルの街

ここには結構長いビーチがあるのですが、あまり魅力的に見えませんでした。
バスに乗っていた時に見たのですが、少し離れたところにリゾート地区があり、そちらの方がステキな感じがしました。

それにしてもキプロスにはロシア人の観光客がものすごく多いです。
半分くらいはそうなのかなという感覚です。

何故かちょっと調べてみると、どうやらキプロスがEUに加入する2002年の前までは企業の税率が5%以下でものすごく低くロシアの企業がかなり移って来たためのようです。
その数、5000社くらいあったとも言われています。
そのため、住んでいる人も含めロシア人の観光客が多いようです。

ラルナカ

リマソルからラルナカ市内へのバスの発着場所は観光スポットから4キロちょっと離れており、自分は歩きましたが結構大変でした。
インフォメーションセンターの人に教えてもらった別の行き方は、30番のバスで海岸線を進むと、ラルナカ行きのバス停と交差するところがあるのでそこで乗り換えるものです。
この30番バスは15分くらいの間隔で出ているようです。

翌日のフライトが朝の7:30だったため空港まで歩いていける場所に宿泊しました。
オーナーにラルナカの市内までの行き方と時刻表を教えてもらったのですが、かなり不便なことがわかり、1時間くらい待つ覚悟でいましたが、別のバスが20分くらいで来たのでラッキーと思って乗りました。

帰りもこのバスに乗ったのですが、確か夜8時くらいでたまたま最終バスでした。
なんかすっごい田舎に来たような感覚でした。
観光が主要産業のはずなのですが交通は不便だなと感じました。
きっとみんなレンタカーを使用するんだなと思います。

ラルナカのバスターミナル

街中はコンパクトですぐに歩いて回れる規模でした。
リマソルのようにショッピングができる場所はほぼなかったです。
平日だったので街中もビーチもあまり混雑していませんでしたが、気持ち良く泳ぐことができました。

キプロスのラルナカ市内
キプロスのラルナカ市内
キプロスのラルナカ市内
キプロスのラルナカ市内
キプロスのラルナカ市内

空港の近くにソルトレイクがあり、白くとても綺麗でした。
残念ながら時間がなかったので、バスからしか覗けませんでしたが、機会があったら降りて見てみたいと思いました。
冬前にはフラミンゴもやってくるようです。
ラルナカのソルトレイク
ラルナカのソルトレイク
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